自動販売機(自販)の設置

飲食店でなければ店先に自動販売機(自販)を置くことは珍しい事ではありません。
自販を置く理由はそれ自体の収入と、お店のサービスのひとつとしてのどちらかだと言えます。
ここでは自販の事について色々と説明します。

主な関心はどれくらいの儲けになるかだと思いますので、先にそちらからお話しします。
自販を置く大きな理由としてはやはり収入を期待しての事だと思いますが、 場所にもよりますが、店先に自販を置いてもほとんどの場合赤字になります。

簡単に計算すると、現在(2012年10月)の自販の1ヵ月あたりの電気料は月平均4,000円ほどになります。
1本売れた時の利益は20円が一般的です。
となると月当たり200本、1日に6本か7本売れなくては赤字になります。
6本か7本くらい売れるだろうと思うかも知れませんが、 場所がよくない限り、逆に言えばほとんどの場所でそんなに売れることはありません。

これは人通りや来店者数などもありますが、 繁華街などで人通りが多い場合であっても、 多くのお店で自販を置いている為、 1店舗当たりの自販の売り上げが分散してしまいます。
人通りの少ない場所では、一日数十人〜数百人もの来店者が必要になります。
技術系のお店などでは一日の来店者は少ないのですが、購入率は高くなり、 商品小売の場合では来店者数は多い割りに購入率が低くなるのが一般的です。

そう言った理由からほとんどの場合赤字になるにも関わらず置いている店が多いのは、 ひとつは黒字になると思って置いたままになっている、 もうひとつは来店するお客さんへのサービスのひとつとしている、 のどちらかではないでしょうか。
後者で典型的なパターンはお店の外ではなく、店内に置いている場合です。
技術系や店内で長く待ってもらう場合に自由に購入してもらうためです。
以前であればお客さんにお茶やコーヒーを出すお店も多かったのですが、 経費と手間がかかるため、ウォーターサーバーや自動販売機を置き、 経費はかかるものの手間を省いている感じです。
この場合の自販の売り上げは基本的に期待していません。
お店にもよるでしょうが、そういったところでの購入率は恐らく1割前後です。
先の計算から考えれば、来店者は最低でも60人以上必要になります。
個人経営で小規模な美容室などの場合、一日の来店者数はそこまでいきませんし、そこまでの数をこなせませんよね。
そういったことから店内に自販を置くのはあくまでサービスのひとつと割り切る事になります。

一般的に黒字となるケースは人通りの多い駅や角地ですが、 それ以外で比較的黒字となるのは住宅地内にあるお店の店先です。
ただそれも条件があり、人通りが多い事、車の場合であれば自販のすぐ近くに停められる事、近くにライバルがいない事などです。
お店自体への来店者数がそれなりにあれば、黒字になる可能性が上がります。
自宅で音楽教室などをしている場合で、上記条件を満たしていれば置いてみる価値はあるかもしれません。

唯一絶対と言ってもいいほど黒字になるケースがあります。
それはバス停の前など、「1日で何人もの人が待つ場所」です。

とにかく「待ち合わせ」などに使われる場所は黒字になる可能性が高いので、 家の前が乗降者の多いバス停などの場合、自販を置いてみる価値は十分にあります。
むしろ自販機や飲料水メーカーの方はそれを良く分かっているので、 そういった場所には多くの場合すでに自販が置いてあります。
あなたの家の近くのバス停を思い出して下さい。
自販機が置いてありませんか?
もしくはすぐ近くにありませんか?
もし無い場合は、そこは「置けない場所」か「乗降者の少ない場所」です。

契約内容についても触れておきます。
一般的に自販を置く契約内容としては、維持管理をすべて業者に任すケースが多いように思います。
これは商品の詰め替えや集金などの他、トラブルに関しても全て業者が責任を持つといった内容です。
破損や盗難などがあった場合でも、置いている側の責任はなく、 例えば4,000円分の売り上げがあったにもかかわらず、全額盗難にあったとしても売り上げ分は業者から支払われます。
そういったリスクを負いたくない、手間をかけたくない人が多いので全て業者任せとするわけです。
その場合の利益は最初に述べた通りとなります。

もうひとつは全て自分でする場合です。
自販や商品を購入し、詰め替えや集金も全て自分でするパターンです。
契約内容にもよりますが、この場合であれば全て自分の裁量で行えるので、 契約内容によっては他社の商品を入れる事も可能です。
一番のメリットは利益率が上がることで、 業者の人に詰め替えなどをしてもらわなくてもいいので、 商品購入時の原価は当然安くなります。
ただこの場合の注意点は、商品自体を自分が仕入れ販売する形になるので、 1本ごとの売り上げ記録を帳簿に付ける必要が出てきます。
その為、場合によっては利益以上に人件費がかかる事になりかねません。
元々そういった商品を販売しているのであれば、 管理は同じことなのでいいのですが、 そうでなければ結構な手間となってしまいます。
デメリットとしてはもう1点、破損や故障などの修理費用です。
自分の持ち物である以上、修理費用は当然自分持ちです。
例えば落雷などで電源ユニットが故障した場合の修理費は数万となるため、 利益で穴埋めできるかが重要になります。

どちらにしても契約内容については良く確認する事をおすすめします。

最後に自販の電気料についてですが、 これは年々下がってきています。
機械的な部分と設計の工夫などにより、新機種になればなるほど通常使用電力は下がっていきます。
以前であれば自販の電気料は平均6,000円だったので、すでに現在でも大きく下がっていると言えますが、 今後もっと下がる事が予想されますので、 その時であれば上記の内容はもっとゆるいものになります。